日本史などの歴史を勉強する時は、必ずしも時系列順で学ぶ必要はないし、むしろ時系列じゃない学びの方が面白いまであるなと思った。
こう思ったのは「くらしとくらふと〜歴史編〜」というpodcastの初回放送を聞いたことがきっかけだった。
目次
『江戸図屏風』はオープンワールドゲームで、宇宙人のメッセージ!?
この「くらしとくらふと〜歴史編〜」というpodcastは、高校の日本史の教科書を1ページ目から順番に読み進めていくという趣旨のものなのだけど、今回筆者が聞いた第1回では一番最初の見開きに載っている『江戸図屏風』についての話題が中心だった。
まあ、本編開始前のイントロのようなものだ。
そのpodcastの中でSF作家のツクイさんがこのようなことを言っていた。
歴史資料の『江戸図屏風』は、本来の時系列でいうと違う順番で起こったはずの出来事が一つの巨大な絵の中にまるごと収められている。絵を眺める人はそれぞれの出来事を自分の好きな順番で楽しむことができる。
その点で、この『江戸図屏風』は現代で言うオープンワールドゲームに近いと。
さらにこのようなことも言っていた。
SF映画『メッセージ』に出てくる宇宙人達が、当時の江戸を伝えようとしたら『江戸図屏風』のような表現になるんだろうなという気がすると。
ちなみに『江戸図屏風』とは高さ約180cmで幅が8m弱もある巨大な絵のことで、当時の江戸の町の様子を知ることのできる貴重な歴史資料となっている。
つまり、どういうことだってばよ
いきなり『江戸図屏風』は、オープンワールドやSF映画『メッセージ』と似ていると言われてもピンとこないと思う。
podcast内では、それぞれ詳しく説明がなされていたので、どういうことなのか順番に見ていきたい。
まず一つ目のオープンワールドの話では、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を例に上げて説明がなされていた。
そして、もう一つのSF映画『メッセージ』の話では、どういう話なのかあらすじが紹介されていた。ちなみにこの映画は、SF作家テッド・チャンの短編小説が基になっている。
一つずつ順番に紹介していこう。
オープンワールドゲーム『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』
ブレスオブザワイルドでは、主人公のリンクは記憶を失った状態で目覚める。
プレイヤーはゲームの世界を探索しながら、主人公リンクの記憶を時系列が「ばらばら」な状態でたどっていくことになる。
そして、その時系列が「ばらばら」だった記憶のピースが最後には整理されて一つにつながり、物語が完成するといった感じだ。
SF映画『メッセージ』のあらすじ
テッド・チャン原作のSF映画『メッセージ』の方はどんな映画なのかというと、
ある時地球に地球外生命体がやってくる。
主人公はその地球外生命体が使っている「言語」を解読するように命じられる。
その地球外生命体が言語の中で使っていた「文字」は、墨を吹き付けたみたいな謎めいた文字だった。
実は、その「未知の文字」は時系列に沿って意味が伝えられるのではなく、過去も未来も前後関係がない状態で一つの巨大な絵のように一気に認識することができるというようなもので、
主人公はその文字を解読していく過程で、自身の認識がその文字によって少しずつに変わっていくのに気づくみたいな話だ。
感想
オープンワールド的なノリで学ぶ
筆者は、高校の日本史の教科書に出てくる『江戸図屏風』を、このようなオープンワールドゲームやSF映画的な視点での眺めたことはなかったため、この視点は斬新でとても面白いなと思ったし、一見無味乾燥でさえあった『江戸図屏風』が一気に身近に感じられるようになった。
日本史などの歴史を学ぶというと、通常は、縄文時代などの古い時代から現代までを順番に学んでいく。
だけど、別にその順番にこだわる必要はなくて、オープンワールドゲーム的なノリで好きな順番で、自分の興味のある時代から学んでいくというやり方もありだなと思った。
オープンワールド的勉強法は探偵の調査に似ている
小説を例に取ると、このオープンワールド的な学び方は、推理小説でいう探偵の調査と似ているなと思う。
小説の中で、探偵は過去に何があったのかを知るため、地道な聞き込みなどを通して少しずつ事実を明らかにしていくわけだけど、その聞き込みなどによって得られる情報というのは必ずしも「時系列順」というわけではない。
だけど、その一見ばらばらだった情報が最後には一つにつながることで読者はカタルシスを得るとことができる。
おわりに
歴史資料『江戸図屏風』にたいする新たな視点が得られたり、歴史の学び方について考えるきっかけとなったりで、とても有意義なpodcast放送だった。