※ネタバレ注意

『かがみの孤城』を読んだので、感想を書きます。

感動して、涙が出た本でした。

あらすじ

とある事件をきっかけに、不登校になり部屋に閉じこもっていた主人公のこころ。ある日、部屋の鏡が光っているのに気づき、そこをくぐった先で出会ったのは、狼のお面をした少女と、自分と同じような境遇にある6人の男女達だった。

面白いと思った点

面白いと思った点は以下の5つです。

・キャラが立っていて面白い
・伏線回収が見事
・「仲間・友情」ってよいなと思った
・スバルのセリフにジーンときた
・印象に残ったやり取り

順番に見ていきます。

キャラが立っていて面白い

本作品では、メインで7人のキャラクターが登場するのですが、それぞれキャラが立っていて面白い思いました。

中でも、ぶっきらぼうな口調でひねくれ者っぽいけど、実はいいやつなマサムネや、
常に飄々としていて、年の割にどこか大人っぽい雰囲気のあるスバルなどが印象に残っています。

伏線回収が見事

とにかく伏線回収が見事だと感じました。
巧みに散りばめられた伏線が、最後には綺麗に回収されて終わる様は、圧巻でした。
序盤に出てきたシーンと、ラストのシーンが綺麗につながったり、プロローグの伏線回収などすごいと思いました。
読後感のよい小説でした。

「仲間・友情」ってよいなと思った

仲間や友情をテーマにして描かれた作品って、結構好きなのですが、この作品も仲間や友情の要素が強く、こういう仲間って良いなとあらためて思いました。
小説ではないですが、key作品の「リトルバスターズ!」を思い出しました。

スバルのセリフにジーンときた

「あのさ」 散らばったゲームソフトを探しながら、ふいにスバルが言った。「なんだよ」とマサムネはまた答える。

スバルが言った。

「僕、なろうか」

「何に」

「゛ゲーム作る人゛」

ゲームを探す手が止まった。

引用:辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)p522〜523

スバルが身を起こす。そして続けた。

「さっきから、考えていたんだ。マサムネのいる2013年は、僕、四十三……、四十四歳?信じられないけど、結構いい年なんだなって。マサムネからみたら、おじさんだよね。つまり、大人」 スバルが笑う。笑って、「だから」と続ける。

「目指すよ。今から。゛ゲーム作る人゛。マサムネが『このゲーム作ったの、オレの友達』ってちゃんと言えるように」

引用:辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)p523

スバルが飄々と、いつもの調子で言う。

そんな軽く言わないでくれよ、と思うくらい、こともなげに。

「だから、目指せるものができるなら、すごく嬉しい。だから、意地でもそれくらいは覚えたまま、鏡の向こうに帰るよ。約束する。____だから、たとえ、僕やマサムネが忘れても、マサムネは嘘つきじゃない。ゲームを作ってる友達が、マサムネにはいるよ」

引用:辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)p524

マサムネには、嘘をつく悪い癖があり、他の6人に対して、『このゲーム作ったの、オレの友達』という嘘をついたことがありました。
その、虚言癖が原因で学校で嫌われるなどもしていました。

こういった過去があった上での、スバルのこのセリフにジーンときました。
心温まる良いシーンでした。

印象の残った言葉

「ハイリスク?」

「ずっとひとつのことに取り組んできて、これで優勝できなかったり、ピアニストになれなかったらどうしようって、そう思ってるように聞こえたの。それで言うなら、確かに勉強は一番ローリスクなことかもしれない。やればやっただけの結果は出るし、これから何をするにも絶対に無駄にはならないから」

両方やろう、と先生が微笑む。

引用:辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)p461

「勉強は、一番、ローリスクだから」

「へ?」

「才能があるかどうかなんて賭けに乗るより、地道だけど、一番確実な方法かもしれないって思うんだ」

引用:辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)p463

「やっておいて絶対に無駄にならないって、教えてくれた人がいて」

引用:辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)p463

「勉強は、一番、ローリスク」
印象に残った言葉でした。
勉強のやる気が湧いてくる言葉です。

まとめ

印象に残ったシーンや、言葉など、心揺さぶるものが多々あり、
間違いなく読んで良かったと思える本でした。
機会があれば、同じ著者の別の作品も読んでみたいです。

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