『お探し物は図書室まで』(著:青山美智子)の名言・名シーンをまとめました。

あらすじ

お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?不愛想だけど聞き上手な司書さんが本と付録であなたを後押しします。

引用:お探し物は図書室まで|一般書|小説・文芸|本を探す|ポプラ社

独特な雰囲気のあるベテラン司書さんが、意外な選書で悩める人たちの背中を押してくれるお話です。

読み終わったあとは、自分もなにかやってみようという気持ちになれました。

登場人物は婦人服販売員、家具メーカー経理部、元雑誌編集者、ニート、定年退職と幅広く、年代も21歳〜65歳と幅広いです。

どんな人が読んでも何かしら得られるものがありそうな本だなと思いました。

心に残った言葉やシーン

職業イコール、その人を表すキャラクターみたいなもの

彼氏ができた、と沙耶からラインがきたので「どんな人?」と訊いたら、「医者」とだけ返ってきた。
 私は「どんな人」なのかを質問したのに、性格や外見をすっ飛ばして、職業。

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p4

でも、それはつまり、その人を語るのに手っ取り早くわかりやすいってことなんだと思う。職業イコール、その人を表すキャラクターみたいなもの。たしかに私も、医者と言われて、ちょっとわかったような気になる。ステレオタイプな、あるいはごく個人的なイメージだけで。

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p4

「職業イコール、その人を表すキャラクター」

たしかにわかるなぁと思いました。

自分も職業から、その人のイメージを想像してる節があるなと思いました。

例えば、自分の場合、プログラマーといえばちょっと知的なイメージがあるし、作家といえば頭がいいというようなイメージを持つことがあります。

その人の職業を聞くだけで、その人のことをちょっとわかった気になるというのは共感できた言葉でした。

今の自分にできることを今やる

そこで一度区切ると、桐山くんは静かに言った。
「何が起きるかわからない世の中で、今の自分にできることを今やってるんだ」
私じゃなく、自分に話しかけるように。 
引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p40

これなら私にもやれるかもしれない。
そうだ、今の自分にできることを今やる。それでいい。

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p46

「今の自分にできることを今やる。」

あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと焦っている時に「そうだ、今の自分にできることを今やろう。これでいい」とふっと自分の肩の力を抜いて前に進むことができる言葉だなと思いました。

組織に属しているかぎり煩わしい人間関係がちゃんとあるのだと、僕はもう知っている

人づきあいが下手だから、営業部じゃなく希望通り経理部に配属されたのはラッキーだった。でもどこにいたって、組織に属しているかぎり煩わしい人間関係がちゃんとあるのだと、僕はもう知っている。

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p67~68

「組織に属しているかぎり煩わしい人間関係がちゃんとある」

当たり前といえばそうですが、コミニュケーションが苦手で人間関係が下手な自分にとってとても共感できた言葉でした。

世界は、信用で回ってる

「ねえ、諒ちゃん。世界は何で回ってると思う?」

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p116

「私はね、信用だと思ってる」
「……………信用」
「そうよ。銀行からお金を借りるのも、仕事を依頼するのも受けるのも、友達との約束も、レストランでご飯を食べるのも、双方の信用で成り立ってるのよ」

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p116

最近見た「C」という経済系のアニメでも似たようなセリフが出てきたなと思い出しました。

書物そのものに力があるというよりは、あなたがそういう読み方をしたっていう、そこに価値があるんだよ

「ええ。私も変容しようって思えました。この本のおかげで」
小町さんは、にっ、と笑った。
「どんな本もそうだけど、書物そのものに力があるというよりは、あなたがそういう読み方をしたっていう、そこに価値があるんだよ」

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p165

たしかに、同じ本を読んでも人によって感想や解釈が違ったりするよなあと思いました。

村上春樹がデビューしたのは三十歳だ。二十代はそれをずっと励みにしてた

「…………征太郎は、自分の小説が認められないまま年をとっていくことに、不安になったりしないのか」

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p206

「なくもないけど、村上春樹がデビューしたのは三十歳だ。二十代はそれをずっと励みにしてた」
「へえ」
「でも、それも過ぎちゃいそうだからあわてて次を探した。浅田次郎がデビューしたのは四十歳だ」

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p206

作家としてなかなかデビューできなくても、自分より上の年齢でデビューした作家を探して、そこを目標に頑張るという前向きさが良いなと思いました。

ただ、心が動いたら、それだけでトライする理由になると思うんです

「でも、何かを始めるときにはそれが後から役に立つかどうかなんて、考えたことないですよ。ただ、心が動いたら、それだけでトライする理由になると思うんです」

引用:青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)p283

自分の場合、何かを新しく始めようという時に、結局それって何の役に立つんだろう…とよく考えがちです。
心が動いたら、とりあえずやってみて、それが後から思いもよらない形で役に立ったりするというのは素敵だなと思いました。

さいごに

本書は5つの短編で構成されていて、それぞれ違う人物が主人公なのですが、一つ一つが独立している訳ではなく同じ街の中での話で、登場人物同士の繋がりがあるのが面白いなと思いました。

例えば、二章に出てくる海老川さんという人物が五章ではまた違う形で登場しています。読みすすめればすすめるほど、短編同士がつながっていき理解が深まっていくといような感じです。

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