よく、おじさんは頭が固いと言われる。

考えが固定化しているといった意味で使われる言葉だけど、

これって、

体力の低下と関係しているんじゃないだろうか。

そんなことを思った。

どうしてか。

以前、49歳の男性がこんなことを言っているのを聞いたことがある。

「この年になってくると、ほんとうに体力が低下してくる。ちょっと運動しただけでも、すぐ疲れるし、何か新しいことをやる気力もなくなってくる。ほんと、体力の低下は残酷だよなぁ」。

ここで注目すべきは、「体力の低下にともなって、新しいことをやる気力もなくなってくる」と言っている点だ。

これは裏を返せば、何か新しいことをやるには体力が必要ということになる。

と、ここまで読んだ読者の皆さんはこう思っているかもしれない。

うん、年を取ってくると体力が落ちてくるのは普通のことだよね。そして、体力の低下にともなって何か新しいことをやる気力が失われてくるというのも、わからなくもない。

で、このことが、おじさんの頭が固いのとどう関係があるんだい?と。

結論に急ぐ前に、もう一つだけエピソードを紹介させてほしい。さっさと結論を書けよだって?

ちょっと待ってくれ。これから書くことはおじさんの頭が固くなる現象を説明する上でとても重要なんだ。

そのエピソードとは、こんな話だ。

筆者は、40代の人達がやっている、とあるpodcastをたまに聞くのだけど、そこで話される内容に、ふと、とある傾向があることに気がついた。

どういう傾向か?それは「自分たちが10代や20代の頃に見聴きしていた音楽やアニメ等の話題が多い」というものだ。

アニメにしても、別に最近のアニメの話をしてもいいはずだ。にも関わらず、なぜ彼らは、若い頃に見ていた昔のアニメの話ばかりをするのだろうか。

音楽にしたってそうだ。別に最近の音楽の話をしてもいいはずだ。なのに、どうしてか話に登場するのは20年前、30年前のアーティストばかりなのか。

なぜ?

人間は自分がもっとも多感な時期に見聞きしていたものに、大きな影響を受けるということなんだろうか。

それもあるかもしれない。

しかし、私は、こうなってしまうもっとも大きな要因、それは、

「体力の低下」

にあると主張したい。

最初に「体力の低下にともなって、新しいことをやる気力もなくなってくる」と書いた。

つまり、こういうことなんだ。

ここでいう「新しいこと」には、最近のアニメを見たり、音楽を聴くといったことも含まれる。

となると、どうなるか。

そう、おじさんは、最近の曲を聴いたり、最近流行りのアニメを見なくなるのだ。

なぜか。それは、「体力が低下してくる」から。自分が全く知らない新しい曲を聴いたり、自分が知らないアニメ等の映像作品を新しく見始めるということは、それなりのエネルギーがいる。

つまり、「体力」を必要とする。

「体力の低下」にともなって、段々とそういった新しいコンテンツに触れることが億劫になってくるのだ。

よくインターネット上にいるおじさんを指して、「懐古厨」なんて言われたりもするけれど、その原因も大方これだろうと思う。

それでは、ここまでの話をいったん整理した上で、いよいよ、「なぜ、おじさんは頭が固いと言われてしまうのか」についての核心に迫りたい。

それでは、ここまでの話を整理してみよう。

まず、年をとってくると、体力が低下してくる。と書いた。

しかし、知らないアーティストの音楽を聴いたり、知らないアニメを新しく見始めたりするのは、それなりのエネルギーを必要とする。

すると、体力の低下にともなって、こういった新しいコンテンツを見聞きすることが億劫になり、ほとんどしなくなってくる。

以上がここまでの内容の簡潔なまとめだ。

では、上記の話をふまえた上で、なぜ、おじさんは頭が固いと言われてしまうのか?の核心に迫りたい。

「頭が固い」というのは、考えが固定化していて融通がきかないといった意味で使われるが、

新しい考えを自分の中に形成するには、先程書いたような新しいコンテンツに触れることや、自分とは異なった意見や価値観を持つ人々の話を聞いて、理解を示すといったことが必要になってくる。

このような行為は、エネルギーつまりは体力を必要とするため、年齢を重ねるにつれ、だんだんと億劫になり、人はそれをしなくなってしまう。

その結果、頭が固いと言われてしまうおじさんが誕生するのではないか。と、筆者は考える。

まだ、20代後半くらいの人でも、最近の流行りのアニメや音楽を見聴きするのが億劫になってきているな…と思い当たる節のある人は要注意だ。

北斗の拳のケンシロウならこういうかもしれない。

「お前はもうおっさん化している……」と。

何を隠そう筆者も、こんな文章を書いておいておきながらあれだが、ギリおっさんとは呼ばれないくらいの年齢なのだけど、

すでに上記で述べたような、おっさん化の傾向が少し出てきているの実感している。

だから感性が錆付かないよう、最近流行りのコンテンツも意識して見聴きするようにして、おっさん化に抗いたいと思っている。

と、まあ、ここまでで、俗にいう「おっさん化」はまるで悪のように書き立ててきたけれど、必ずしもそうではないとも思う。

「昔話に花を咲かせる」という言葉があるように、昔を懐かしむのは楽しい(ちょっぴり寂しくもあるけれど)。

自分が若い頃というのは、一般に、活力に溢れており、人生でもっとも充実していた時期であろう。

そして、そういった10代20代の頃に見聴きした、アニメや音楽などは、自分の若かりし頃の楽しかった思い出と密接に結びついている。

だから、おっさんは時として昔を美化して語りたがるのだろう。

それが若い人々の目に障り、「老害」と呼ばれたりもする。

おっさん化してしまうのは、我々人類の宿命なのかもしれない。

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